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2010年8月13日 (金)

小学生のときに読んだ本④

三島由紀夫『美徳のよろめき』

何がなんだかさっぱりわからず。

そもそもなんでこれを読むことになったのかもさっぱり記憶になし。

その後も三島由紀夫はあまり読んでいません。なんとなく食指が動かなくて。

高校生のとき、『潮騒』という純愛小説の舞台になった、神島という島にテントをかついで行ったことがありますが、これも『潮騒』を読んで行ったみたいと思ったのではなく、椎名誠の『わしらは怪しい探検隊』を読んだのが動機でした。いやはや。

昔の椎名誠はおもしろかったんですよ。『哀愁の街に霧が降るのだ』とか、『さらば国分寺書店のおばば』とかね。椎名誠や新井素子が、書き言葉の世界を広げていました。こんな言葉づかいで文章を書いてもいいんだ、と新鮮な気持ちでしたね。橋本治が『桃尻語訳枕草子』を出したのもその頃でしたっけ。

三島由紀夫が嫌っていた太宰治は高校生以降かなり読みました。最近流行っちゃって『斜陽』とか『ヴィヨンの妻』とか映画化されているみたいですね。でも、太宰治は長いものより短いものがとてもおもしろいと思います。

小学生でもかろうじて読めそうなおすすめは、

『畜犬談』

『黄金風景』

『駆け込み訴え』

といったあたりでしょうか。もちろん簡単ではありませんが、読書の好きな子なら小5ぐらいから可能だと思います。

『畜犬談』は、犬が大嫌いな男の話です。

『黄金風景』は、昔いじめた女中が会いに来るという話。いったいそれがどうして「黄金風景」になるんでしょう? うーん、感動的。

『駆け込み訴え』は、これがいちばん難しいと思いますが、イエスを裏切ったイスカリオテのユダによる独白といういっぷう変わった短編です。とんでもない筆力だなと舌を巻きますよ。新約聖書の知識が多少なりともないとおもしろくないですが。

意外なことに、どれも読後感が悪くありません。『人間失格』を読んでどよ~んと落ち込み、二度と太宰なんか読まん!と決めている方がいらっしゃいましたら、ぜひ上記三篇をお試しください。ああ、小説っておもしろいなあと心から思わせてくれる三篇です。

(西川)

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