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2013年6月23日 (日)

贈るダンス

このところ左膝に痛みがありました。

4月ごろからですが、日によって痛むところが違います。半月板の損傷なら本田や長友みたいだと少し嬉しくなったりしました。やがて少し足をひきずるようになってきました。階段の下りがキツイのです。

今回は医者にかかるようなものではないと感じていました。体に関する初期判断は直感に任せています。思いあたるのは3月の合格祝賀会の講師劇くらいです。例によって老人役でしたが今年は初のひとりダンス付きでした。曲目はAKB48の「Everyday、カチューシャ」。「カチューシャ」という歌詞が最初に出てくるところまでイントロからひとりで踊ります。ひとりセンターです。過去最大の試練でした。踊りの類は高校の運動会以来。体の動きですからカンペも使えません。練習あるのみ。努力。根性。絶対合格!

生まれて初めてユーチューブをくり返しくり返し見ました。まさにヘビーローテーションです。まず歌を知りません。なかなか歌詞が頭に入ってきません。老喜劇役者に、どんなアイドルが出ていてもブラウン管に向かって「百恵ちゃーん ♪」と叫ぶネタがありました。思い出し笑いに涙が混じりそうです。体力はさほど衰えていないつもりですがダンスは守備範囲外です。十三のひと気のない小部屋で巻き戻しと再生をくり返すPC……。もの好きかご親切か、反転バージョンの投稿映像を見つけました。大きな出会いでした。

だんだんと仕上がってきたところに細かい発見をしてしまいました。イントロの最後で、膝を交互に軽やかに入れているのです。膝のキレに手ぶりを加えてカッコよく! 卒業生の笑顔を胸に、深夜の十三の小部屋でステップを踏みます。

当日を迎えました。出番が近づきます。曲がかかりました。リズミカルな動きから膝にさしかかります。キュキュッと膝を入れて腰を振ると、前列後方の女子の一群から歓声にも似た悲鳴が上がりました。……我に返ってしまってちょっとアガってしまいます。

このカチューシャは、注射ということばを引き出す壮大な序詞です。昨日病院でしてもらったアレの名前が出てこないという場面に続くダンスでした。

毎年この劇に向けてスタッフ一丸となります。秀逸な台本が用意され、卒業生へのはなむけに全力を注ぐのです。お手製の衣装には、ご才女の協力というか一族郎党の執念が感じられます。演者以外にも大道具小道具班が自然に動き出し、段ボールで書き割りの背景が作られます。合格はお金では買えません。だからこそ入試は平等なのです。かくてプライスレスの舞台が調います。最後の贈りものです。

さて膝です。5月の終わりにふと靴の中敷きを取ってみました。高校の時サッカーで右足の甲を怪我して以来、右がかなり甲高になり、靴によっては左だけに中敷きを入れてもらいます。よく履く2足の中敷きの接着剤がとれて靴の中でゆるんでいました。これを抜き取ったらぴたりと痛みが治まりました。変なチカラがかかった歩き方になっていたようです。

半月板でなかったのは残念です。右足の甲の自己診断は軽めの剥離骨折でした。祝賀会と合格体験記にまつわるほかの話を書くつもりだったのですが、そちらはいずれまた。

 

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