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2013年8月 6日 (火)

わらの男

あまりにも暑い日々が続いていますがいかがお過ごしでしょうか。

今年の梅雨入りはなんだかあやしくて、ざーっと雨が降って梅雨入り宣言が出たものの、その後長らく雨が降らず、あの梅雨入り宣言は何だったのだろう、あれは気象庁の勇み足で、あの時点ではまだ梅雨入りしていなかったのではないか、気象庁の人たちも「やってしもた~」と思っているにちがいないと睨んでいたのでありますが、そんな梅雨も終わってだいぶたちます。

前回の山下先生の記事がアップされるまでブログの更新が滞っていたのは私のせいです。山下先生はだいぶ早くに書いてくれていたんですが、それを私が長い間アップし忘れていました。山下先生、そして数少ない読者の方々、申し訳ありません。心に余裕がない人間はダメですね。いつもあっぷあっぷして生きているのでいろんなことを忘れてしまいます。シャレではありません。

さて、僕は暑いのはまったく気にならないのですが、湿気に耐えられません。中央アジアを旅行したとき、ひどく暑かったんですけれど、もうまるで平気で、むしろ心地よかったのは、空気が乾燥していたからだと思います。空気さえからっとしていればいくら暑くてもだいじょうぶ、というのがそれ以来の僕の信念です。

かりに、暑くてしかも湿気がひどかったとしても、皮膚が何にも接触していなければ問題ない気がします。つまり、素っ裸ですね。素っ裸で、寝そべったり座ったりせず立っている状態です。座ると、椅子の座面にからだがふれますし、寝そべったりすればますますそうなるからダメですが、足の裏が床に接触している程度ならば問題はなさそうです。でも、正直、その状態で1日を過ごすのは難しいですね。当たり前のことですが、まず、外出できません。まだそんな勇気はないですね。僕の亡くなった祖母は、その昔、銭湯から帰ってくるときいつも上半身はだかで、近所の人々に恐れおののかれていましたが、僕自身はまだその境地に達していません。祖母は九州の人で、はやくに夫に先立たれ、子どもを育てるために炭鉱で働いたこともあるという話なので、そういうのが平気だったのかもしれません。中学生のとき国語の授業で「たらちねの」という枕詞を習い、長崎の片田舎にひとりで住んでいる祖母のことを思い出しました。

こんなに暑くて湿気がひどいと、沢に行きたくなります。沢登りしたいです。はじめて沢登りをしたときは、こ、こ、こ、こんなに楽しいことがあったのかと大興奮しました。まさに大人の水遊び。最近では、お酒を飲んではじけることなんてなくなりましたが、沢に入ると秒殺で脳内麻薬物質が分泌されトランスしてしまいます。沢は危ないですけど、天候に気をつけて慎重に行動すればあんなに楽しいことはありません。

はじめて沢登りをしたときだったか二度目だったか、いっしょに行った(というか連れて行ってくれた)Y田M平先生が熱中症(的な何か)にやられちゃって、大変でした。Y田先生、塩分とらずに沢の水をがぶ飲みしてましたから、それがよくなかったんじゃないかなと思います。僕は水分はため込むタイプなのか、飲むときは大量に飲みますが、飲まないときは全然飲まなくても平気で、そのときもほとんど飲みませんでしたが、全然平気でした。いずれにせよ、沢をたいがい登り詰めて、登山道に出、あとは下山するだけというあたりからY田先生のようすがぜえぜえはあはあとあやしくなり、数分歩いては休憩するという状態に陥りました。熱中症(的な何か)は怖いです。あっという間に日が暮れて、真っ暗な樹林帯をヘッドランプの明かりを頼りに下っていきましたが、何度目かの休憩のとき、ふとあたりを見わたすと、斜面一帯が蛍で埋め尽くされていたのであります。こんなに美しいものが見られるなんて何と幸運なんだろう、それにしてもなぜ横にいるのがこいつなのだろう、と思っていると、「こいつ」がうつろな目をして「ほらごらん、来てよかっただろう」と、何十回も聞かされてうんざりしている定番の「ギャグ」を力なくとばすのでありました。まあ、僕も似たようなことはよく言うわけで、僕の場合は、十三教室のエレベーターなんかで事務系の女性職員と2人きりになってしまってなんとなく気まずい感じのときに「やっと二人きりになれたね」などと言ってどん引きされてしまうわけでありますが、まったくオヤジというのはどうしようもないものです。

閑話休題。今までに見た、最も綺麗な蛍でした。使い古された形容ではありますが、まさに幻想的とはこのことかって感じで、しかもなぜか地の底から読経の声が響いてきましてね。あーもう極楽浄土ですかって思いました。実は、登山道の入口(つまり出口)のあたりがお寺で、ちょうどそのとき若いお坊さんたちが集まって修行か何かやってたんですね。比良の沢でした。

去年は沢登りに行けませんでした。今年こそは行きたいものです。ちゃんと地下足袋と草鞋のストックがあるんです。Y田先生は渓流タビ、Y川先生は渓流シューズ、そして私は草鞋なんですが、草鞋が最強ですよ。濡れた岩のうえだけでなく、滝を高巻いて藪漕ぎするときにも滑りにくい。使い捨てですが、年に1回か2回のことですし。溯行終了点の木の枝か何かに草鞋をくくりつけるというのがまたおしゃれです。なんせワラだから、ゴミにならない。

ワラといえば、昔、だれかに見せてもらった「誕生日の花」の本で、僕の誕生日の花が「ワラ」になっていて驚愕したことがあります。ワラって、花じゃないじゃん! ていうか、植物名ですらないよね!? じゃあ俺は誕生日に花束のかわりに藁束もらうのか!? しかも、花(?)言葉が「協調性」とかなんとか書いてあって、小学校のとき通知表にいつも「協調性がない」と書かれていた僕と知ってのことだろうか、何のいやがらせだ、と憤慨しました。

 

 

 

 

 

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