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2017年11月の2件の記事

2017年11月19日 (日)

「初夏の旅なつかしく ①」

ご無沙汰しております。国語科の矢原です。国語科員ですので筆無精だとの認識はないのですが、ほかの先生がたに任せっきりのおんぶに抱っこになっていました。
その時どきの感慨を数行にしたためたりしております。その書き付けを頼りに数年前を思い出しながら初夏の旅の様子を振り返ってみます。写真もあまり撮りませんので文字ばかりですが、それもまた一興かと。


「Driving in May」
ビューン Go Go Expressway!
夜明けの出発 初夏の快適
サービスエリアで朝のコーヒー
目的地まで あと300キロ!

うまく休めそうだったので珍しく宿まで取って出かけました。折角の機会を有効に使うため、前日は寝たこともない時間に床に就きまして。まだまだ夜明けとは言いがたいころに出発です。
暗いうちにどんどん進みます。なんと今回は、初日の朝ご飯を旅先で食するという大胆な作戦です。もちろん行き先は決まっていますがどこを訪れるかは大まかにしか決めていません。静かなところでゆっくりするなどという思想も全くもって持ち合わせません。当地を味わい尽くすつもりで盛りだくさんにメニューを詰め込みます。
中国自動車道をしばらく走ったところで珈琲タイム。さらにどんどん走って、海に下れば広島県の宮島という辺りでプチ仮眠。だんだん明るくなったところでさらに西へと進みます。


「命運の海峡」
初夏の関門海峡 光と陰よ
八艘飛びに 義経 踊れば
長州藩には 苦難と栄光
巌流島見ゆ 武蔵 見参!

そうです。旅先は山口県。まずは下関の海端にある唐戸(カラト)市場で絶品の朝ご飯。
本物の魚市場ですがもはや観光地です。まずは、市場で働く方々も利用する2階の食堂で定食をいただきます。新鮮なのを揚げたり煮たりしたのや刺身がどっさり。朝ご飯にお刺身は最高ですが焼き物や煮物も抜群です。鮮度がよいものは火を通しても味が違います。
食べ終わってから1階をぐるっと回ると魚介の卸の店舗でお寿司コーナーが始まります。小分けのパックに入ったのを買って、あちこちに置かれたテーブルとベンチでいただきます。美味しい握り寿司は別腹ですね。

満足したところで目の前の海峡を眺めながら腹ごなしのお散歩タイム。大小多くの船が行き交います。この海峡の通行料が長州藩の財政を支えたそうです。そのすぐ向こう届きそうで届かない距離に九州が見えます。海峡には物語が付きものですが、ここ関門海峡は数々の大がかりなドラマの舞台です。
朝の潮風を受けながら東向きに歩くと旧式の大砲が並んでいます。関門海峡の昔の名は壇ノ浦。幕末の長州藩が列強相手に攘夷の戦を敢行した場所であり、長州征伐の幕府軍を返り討ちにした場所です。古戦場である壇ノ浦砲台跡。車輪付きの木組みの上の西洋式大砲をさわると長州藩の難渋と歓喜が伝わってきます。旧式の大砲を捨て、最新鋭の火器と軍艦を手に入れた長州軍は生まれ変わりました。藩を窮地に陥れた大敗、歴史の転換点となった大勝利は共にこの海峡での出来事です。
砲台の脇には八艘飛びの源義経と、イカリをかついだ平知盛の像が向き合うように置かれています。振り返って唐戸市場の向こう側、関門海峡の西の端には巌流島が浮かんでいます。あの宮本武蔵と佐々木小次郎が戦った島です。若い頃に初めて九州を訪れた際にここを通って知りました。吉川英治の名作は高校生のころに読んだはずなのですが、巌流島の場所を意識していませんでした。

さあ車に乗りこんで出発。数分も走らずに「るるぶ」で見つけた赤間(アカマ)神宮に立ち寄ります。尼に抱かれて壇ノ浦に入水した安徳天皇を祀ったところです。ついでに訪れる場所はこうやって現地に来てから見つけていきます。
海峡に望む立派な神社はお寺のような風情。人も少ない静かな境内を奥へと進むと平家一門を祀る塚がありました。栄華を極めた一門がこの地で滅んだことがよく分かりました。その傍らには耳なし芳一を祀った芳一堂。こんなものが実際にあるとは思いもよりませんでした。

赤間神宮を出て少し進むと何やら施設がありまた車を停めました。いま調べると関門プラザというところでした。表示を見ていると関門トンネル人道というのがありました。なんとエレベーターで地下に降り、徒歩や自転車で九州に渡れるのです。時間の都合でほんの少し地下を歩いてみただけですが、非常に面白い体験でした。これまたいま調べてみると距離は780メートルで、海底の歩道の途中に県境の線があります。歩行者無料、自転車20円。

さてまだまだ午前中がたっぷり残っていたかと思います。次の目的地に向け出発します。
たかだか一泊旅行の話ですのですぐに終わるかと思って書き始めましたが、思い出すことや懐かしくて調べ直したことを書き始めると結構な量になりました。今日の所はこの辺で。
この調子であちこち見歩くのですが、盛りだくさんとはいえ駆け足で見て回るようなことはしません。食べたり飲んだりのぞき込んだり笑ったり感心したり、旅は楽しんでナンボです。

 


 

2017年11月 8日 (水)

またしても風呂で本を落とす

早いもので、秋になってもはやひと月たちました。まだ暑いんですけど夏はとっくに終わっています。秋です。

と書き出してから一ヶ月近くたちました。まさに光陰矢の如しですね。

と書き足してから早くも二ヶ月が過ぎ去りました。もはや光陰矢の如しというような悠長な言葉では言い尽くせない迫力がありますね。

♪夏が過ぎ風あざみ・・・・・・という曲がありますね。恥ずかしいことに私はあの曲を聴いて「風薊」という名前の薊があるのかしらと思っていました。ついでにいえば、赤い靴を履いていた女の子を連れて行ったのは「ひいじいさん」だと思っていました。これは私だけではないのではないでしょうか。「いいじいさん」だと思っていた人さえいるかもしれません。そういうかんちがいは誰しもありますよね。

なんて話を書こうと思っていたのがすなわち三ヶ月前です。でも何だかもうこの話題自体が私にとって古びて新鮮さを失ってしまいました。むかし、いただいたすいかを冷蔵庫に入れたまま半年以上放置していたことを思い出します。大学のときいっしょに暮らしていた友人からきた年賀状に「今年は大阪に遊びに行きたい」と書いてあり、「おお、ぜひ来てくれ。いつ来るんだね」と返事を送ったのがゴールデンウィーク過ぎで、友人に「何の話だ?」と言われたことも思い出します。

それはともかく、先日また本を風呂に落としてしまいました。風呂というのはこの場合浴槽内という意味です。しかもばしゃんと音をたてて文庫本が落ちたとき私は頭を洗っていました。それもシャンプーを洗い流しているときで、いわゆる最悪のタイミングでした。しわしわになったその本はとっくに読み終えましたが、古本屋に売れないのが残念です。多岐川恭という、もはや知っている人も少なくなったのではないかと思われる作家の時代小説です。とてもおもしろいんですが、そもそもこの本も古本屋で買ったものなのでまた古本屋で売ろうというのがせこい話ではあります。風呂に本を落としたのはこれがはじめてではありません。何年も前にこちらに書きましたが、五千円ぐらいする本を落としたときはさすがにショックでした。で、それからは、風呂では高い本は読まないようにしています。だいたい古本屋で買った時代小説とか推理小説なんかを読んでいます。これらは風呂専用です。

しかし、二束三文で買った娯楽小説を風呂に落とすのはともかく、先日、眼鏡を街中で落として紛失したのはさすがにショックでした。幼稚園の卒園アルバムに「落とし物と忘れ物の名人でしたね」と書かれただけのことはありますね。なんせ一日中眼鏡をかけているので、歩いているときぐらいはずそうと思って、胸にひっかけて歩いてたんです。で、ふと気づいたらなかったんです。あわわわわと慌ててさがしまわりましたが、なんせ眼鏡をしていないのでよく見えない。約百メートルにおよぶあやしい区間を3往復か4往復しましたが見つかりませんでした。落としたことに気づいた場所の百メートルほど手前の地点で、空き地に落ちているボールがくっきり見えていたという記憶があり、そこより前で落とした可能性はないので、ないはずがないのですが、どうしても見つからず、やがて薄暗くなってますます見えなくなってきたためにその日はあきらめて帰りました。翌日、とりあえず使い捨てのコンタクトレンズをして再捜索に行きましたが、何往復しても見つからない。もしかして、カラスとか野良猫とかが持って行ったのか? あるいはこの車の下に・・・・・・などと考えて通行人に怪しまれつつ軽トラの下をのぞき込んだりしましたがダメでした。で、しかたなく新しい眼鏡を買いました。

しかし、やはりどうしても前の眼鏡のことがあきらめきれません。思い入れがあるのです。なんせ二十年近く使っていたのです(もちろんレンズは交換しましたが)。その間、一度たりともネジが緩むことすらなかったきわめて優秀な眼鏡なのです(京都の眼鏡研究社で買ったんです、ミーハー?)。二三日してまた探しに行きました。ありませんでした。そうして台風22号が襲来しました。その翌日、やっぱり諦められずに探しに行くと、ありました。なぜだ? さがしたはずの場所なんですがね。もしや大雨のせいで、眼鏡がうずもれていたところのゴミが流された? というわけで、仕事の日は新しくつくった眼鏡を、そうでない日は古いつきあいの眼鏡を使用する毎日です。

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