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2016年3月の1件の記事

2016年3月 6日 (日)

全然ちごーよ

関ヶ原の合戦で破れた真田親子が紀州九度山で細々と暮らしていたとき、紐を作って売ることで生計を立てていたとか。その紐を真田紐と言い、その紐に似ているということで、寄生虫のサナダムシが名付けられました。ひょっとしたら、真田十勇士が紐商人として各地に売り歩きながら情報収集をしていたかもしれませんね。いずれにせよ、真田幸村がイケメンだった裏付けは何もありませんが、実際にイケメンだったということで人気が出てきたのが長宗我部元親です。もし、坂本龍馬の先祖が明智とかかわりがあったとすれば、光秀が長宗我部家との連絡係だったので、その関係を通じて土佐にやってきたという可能性もあります。

でも、歴史上のイケメンと言えば、なんと言っても在原業平でしょう。『日本三代実録』にハンサムだったと書かれています。実在の人物だから、元親にしても業平にしてもイケメンというのは十分ありえるのですが、最近は日本刀までもがイケメンになっているようです。刀剣を擬人化してイケメンにするというのはすごい発想ですが、ゲームだけでなく、商品とか、地名・駅名まで擬人化されています。軍艦を女の子に擬人化するというのもなかなかの発想でした。戦国武将や三国志の武将が女の子のキャラになるという、「人間の擬人化?」さえ起こっています。こういう擬人化・キャラクター化の最初のものは何だったのでしょうか。ひょっとして鳥獣戯画? いやいや、元をたどればアニミズムにまで行き着くかもしれません。世の中に存在するすべてのものにアニマ、つまり魂があり、一つ一つの石ころにさえ神様が宿るという考え方ですね。原始宗教ですが、日本では特にそれが強かったらしい。八百万の神ですね。今でも、針供養をするわけですから、日本人は擬人化が好きなのですね。「国語くん」とか「算数くん」という擬人化もできそうです。

ゆるキャラもブームになって久しいのですが、日本最初のキャラクターって何だったのでしょうね。卑弥呼かなあ。企業とか商品などのマスコットキャラクターとしては、不二家の「ペコちゃん」なんかは相当古いですね。スポーツにもありました。巨人のミスタージャイアンツは趣味が悪かったなあ。長嶋と王の顔をミックスしたとかいう設定だったと思いますが、相当気色悪かった記憶があります。阪神のトラッキーが登場したのはそれよりずっと後でしたね。大リーグのマスコットも実はそんなに古いものではないかもしれません。だいたい、何をもって「最初」とするか、あいまいなものが世の中には多いようです。

十三駅のホームで、西宮北口に向かうために特急を待っていました。2012年7月14日のことです。パリ祭、フランスの建国記念日なので覚えているのですが、暑かったのでちょっと日陰になる壁のところに一列になってもたれている人たちがいました。同じホームに特急だけでなく、急行や普通もはいってくるので、次の特急を外してわざと後ろにさがっていると思っていました。ところが、特急がホームにはいってきて、ドアが開いた途端、その中の大学生ぐらいの年頃のおねえちゃんが、スルスルと前に出てきて、「ちょっと、並んでたんですけど!」と不愉快そうな口調でのたまうではありませんか。「え、どこに? おまえが壁にもたれて楽してる間に、こっちは暑い中、立って待ってたんや。おまえら、どこに並んでたと言うんじゃい!」と怒鳴ってやろうと、心の中で思いながらすごすごと順番を譲っちゃいました。おそらく、彼女は「順番から言えば、私が一番先に来たんだけど、暑いから壁にもたれてただけで、一番の権利は私にあるよねー」と思ってたんでしょうね。私が並んでると思ってるから、それは並んでることになるんだ、という主張なのでしょう。自分が思っていることをわからないおまえが悪いという表情でこっちをにらみながら彼女は乗っていきました。かくして、「並んでいないのに並んでいると主張する若者の登場」は2012年7月14日のことであることが明らかになりました。今後、こういうヤカラが出てきたときに、この日が思い出されることになるでしょう。

パンツを見せて、ズボンをずらしてはく恥ずかしい人たちは最近さすがに少なくなりましたが、ああいうのも一番はじめはいつだったのでしょうね。アメリカからはいってきたもので、ヒップホップ系のミュージシャンの真似から始まったようです。起源はアメリカの刑務所で囚人たちが自殺防止のためにベルトをつけられなかったことだとか。「ヤバい」をプラス評価で使うようになったのもいつからでしょうか。「真逆」も、いつのまにか「まさか」ではなく「まぎゃく」と読む人が出てきました。電車の中で飲食する人の登場はいつからでしょうか。アメやガムは昔からありましたが、ガムは音を立てるので不快に思う人もいるでしょう。ペットボトルは液体なので、人に迷惑をかける可能性があります。おにぎり・パンはがまんできても、スパゲッティやカレーはやめてほしい。汽車ならともかく、乗っている時間の短い電車の中での飲み食いは原則アウトだったはずですが、今は平気でカップヌードルを食べているやつがいます。

茶葉を「ちゃば」と読んで使うのもいつからでしょう。そんなことばを聞いたことがなかっただけに、音訓読みに抵抗があります。たしかに「ちゃ」は音読み感が薄れてはいますが。「美肌」も困ったことばですね。すなおに「びき」と読んだら意味が通じそうにないし、「びはだ」と言うのもなんか変です。こんなことば、昔からあったのかなあ。「防かび」も抵抗があります。漢字で書けば「防黴」なので、「ぼうばい」と読むのが素直なのですが、読めない人が多いから、かな書きになったのかもしれません。「じいじ」「ばあば」という、おかしなことばも最近よく聞きますね。素直に「じじい」「ばばあ」と言えばいいのに。「じじ」「ばば」はけっして悪いことばではありません。「ちち」が年とって「ぢぢ」に、「はは」が年とって「ばば」になっただけです。なにか胡散臭く感じるのは、仕掛けたやつがいるからですね。絶対にだれかが意識的に作ってはやらせようとしたことばです。それにおどらされていると感じる人には抵抗があるのでしょう。「ちげーよ」というのもありますね。ちょっとワルぶっている若者がドラマの中でよく使います。もちろん、その影響を受けて、実際に使う人もいるでしょう。これはおそらく、だれか頭の悪いやつが最初に使ったんですね。「近いよ」や「すごいよ」はたしかに「ちけーよ」「すげーよ」になります。「ちがいない」も「ちげーねー」となりますね。江戸っ子のことばでは、aiがeiに変わります。「すごい」が「すげー」になるのは、oiがeiに変わったわけで、「とおい」が「とえー」になることもあります。でも「ちがうよ」はauなので、変わるとすればou、つまり「ちごーよ」のはずですが如何?

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