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2016年9月25日 (日)

台風はほぼほぼ来ない

少し前ですが、台風16号が襲来し授業が休講になりました。

今年はどうも偶数の台風がやばかったですね。台風10号、12号、14号、そして16号。14号は日本にはあまり影響はなかった・・・・・・んでしたっけ? でもえらく強烈な台風だったんですよね。

秋といえば登山、そして登山といえば台風です。毎年のように台風にやられている僕ですが、今年はなんと台風と台風のあいだという完璧なタイミングで山登りを挙行することができました。いやいや、どうも、みなさんありがとう!

今回僕が行ってきたのは南アルプスの塩見岳という、独立峰的な趣のある超かっこいい山です。「超」とか言っちゃって国語講師失格ですね。しかし「超」は便利ですからねえ。やめられません。「ほぼほぼ」も結構好きですね。「ほぼ」がだいたい×0.8ぐらいだとするなら「ほぼほぼ」は0.8×0.8=0.64ぐらいですか? 「まずまちがいない」というときの「まず」は、×0.9のイメージで、「まずまずまちがいない」の「まずまず」だと0.9×0.9=0.81って感じですが、今の「ほぼほぼ」の使われ方をよくよく観察するにこれとはちょっとちがう気がします。

もしかすると、今出た「よくよく観察する」の「よくよく」に近いのでしょうか。「よく観察する」の「よく」は×1.2のイメージです、したがって「よくよく」は1.2×1.2=1.44って感じです。しかし、「ほぼまちがいない」の「ほぼ」は理屈で考えれば、1.0未満になるはずなので、これは理屈に合いません。

もしかすると、「ほぼほぼ」は、かけ算ではなく足し算なんでしょうか。だとすると、0.8+0.8=1.6ということになりますが、これは変です。ではなくて、「だいじょうぶかだいじょうぶじゃないかわからん!どっちだ?」という状態が基準としてあり、そこから「だいじょうぶ」の方にぐっと傾いた状態を「ほぼだいじょうぶ」と表現し、さらにぐぐっと傾いた状態を「ほぼほぼだいじょうぶと表現しているような気がします。つまり、右に行けば行くほど「だいじょうぶ」、左に行けば行くほど「だいじょうぶじゃない」という地点からどっちに寄っているか、という捉え方をしてるんじゃあないでしょうか。安心材料を「足していって」、少しずつ「よりだいじょうぶ」に近づいていく心理が、「ほぼ」に「ほぼ」を重ねる言い方でよりよく表現できる気がする、そんな感じです。「ほぼほぼ」ユーザーの僕としてはこのあたりが割と実感に近いです。

しかしまた、そうであるということはつまり、おそろしいことにここには「100%の安心」はないのかもしれません。つねに「よりだいじょうぶ」な状態が理論上想定されることになるからです。安心とかだいじょうぶとかだけでなく、「満足」についても同じことが言えますね。この場合、「満ち足りる」という状態は事実上ないことになりますね。なるほど、現代社会にふさわしい感じ方かもしれません。いや深いですね。

何の話でしたか。塩見岳どした。よくいるブロガーみたいに事細かに登山の行程など書いてもだれも興味を持たれないと思うので書きませんが、雨も降らず、ぶよにも食われず、膝も痛くならず、知らないおじさんについてこられることもなく、百名山ハンターのおばさまたちの落石攻撃にも見舞われず、快適な山行でした。ただ、下山後、食欲に歯止めがかからなくなってしまうのが困りものです。山であまり食欲がわかず、ビールと魚肉ソーセージとベビースターラーメンしか食べられないんです。そのせいか、おりてくると、欠食児童(死語ですな)のように詰め込めるだけ詰め込んでしまいます。そしてぱんぱんにむくみます。一週間ほどたつと、ほぼほぼ元にもどりますが。

この「ほぼほぼ」はさっきの理屈では説明がつきませんね。やはりこれは「輪をかけて」のイメージなのかもしれません。はじめの「ほぼ」は0.8だとして、二つめの「ほぼ」はその一割増しみたいな感じなんでしょうか。0.8+0.08=0.88みたいな。あるいはタクシー。基本料金に80円ずつ加算されていく感じかもしれません。なんだかどうでもよくなってきました。だんだんほぼほぼどうでもよくなってしまいました。

※「ビールと魚肉ソーセージとベビースターラーメン以外はほぼほぼ食べられません」という文を考えてみました。この場合の「ほぼほぼ」はどう考えたらよいのでしょうか?

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