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2018年11月11日 (日)

歯が痛いときの呪文

モーグルの上村選手も、オリンピック直前に不利になるようなルールに変更されましたし、バサロキックの鈴木大地も背泳ぎで優勝するとすぐに潜水の距離が制限されました。古くはバレーボールでも、ブロックの時のオーバーネットを反則としないというルール変更が行われました。身長の低い日本人はオーバーネットをすることは少ないので、外国人選手がブロックしやすくなっただけです。そこで、東洋の魔女と呼ばれた日本人女子チームはツーアタックとか時間差攻撃などを工夫していくのですが、またまたパワーに勝る外国人選手が有利になるようにルール変更。フィギュアスケートなんて、しょっちゅうルール変更があるようで、浅田真央も羽生結弦も泣かされているそうな。

こういったところは欧米人の傲慢さで、いまだに、白人である自分たちが、アジア・アフリカに負けるのは我慢ならないのだ…なんて吠えると、「いやいや、特定のチームや国ばかりが勝つと、ゲームがおもしろくなくなるからルールを変えるんですよ」と言われるかもしれません。日本人が勝手に被害妄想になっているだけで、欧米人が不利になるルール改正は見過ごしていることもないとは言えません。

野球の「四球宣告制度」というのはどうなのでしょうか。時間のロスをなくすという意味ではたしかに納得できるのですが、投手が投げている間バットを逆に持って抗議する人もいましたし、わざと三振することも可能です。強引に飛びついて打つこともできなくはないので、宣告するだけの場合とは結果が変わってくることもあります。ただ、相手が敬遠しようとしているのなら、それに逆らわないというのが暗黙のルールでしょう。国語のテストでも書き取りのときは楷書で書く、という暗黙のルールがあります。続け字で書いてペケにされ、これは草書だといっても認めてもらえません。

字の形には、篆書というのもありますね。これは今でも判子で使われる格調の高い古代の書体です。当然美しいのですが、複雑で、書きにくいのが難点でした。そこで篆書を崩して書きやすくした隷書という書体が生まれます。ここからさらに草書、行書、楷書の三つの書体が生まれるわけですが、隷書はちょっと横長で、波打つような左右のはらいが特徴的です。新しいところでは、勘亭流というのもあります。江戸歌舞伎の看板などに使われる字体で、肉太で丸みがあり、隙間なく書き、ハネる時は内側に入りこむような感じです。これは客を招き入れるという意味だそうな。よく似ていますが、寄席文字というのもあります。勘亭流に対して橘流とも言われます。橘右近という噺家が始めたもので、多くの客が集まるように字を詰まり気味に並べ、空席が少なくなるように隙間をできるだけなくし、さらに右肩上がりに書くという特徴があります。

「南無妙法蓮華経」という「お題目」は「法」以外の字の端の部分を長くひげのようにのばして書かれることがあります。髭題目とか跳ね題目と言い、「法」の光に照らされてすべてが生き生きと活動することを表しているとか。ひげ文字と言う人もいますが、日本酒などのラベルなどに使われている、筆のかすれた感じと画の最後に細かいついた「ひげ」がある字体も「ひげ文字」と呼ばれます。ドイツ文字も「ひげ文字」と呼ばれることがあります。「亀甲文字」とも言い、中世ヨーロッパで使われていた字体です。他の国では使わなくなりましたが、ドイツだけが長く使っていたので「ドイツ文字」と呼ばれます。アルファベットにも装飾的な文字で書かれているのをよく見ます。

そういえば、最近の手書きでは、筆記体は使わないようです。ブロック体だけなんですね。アメリカでもそうらしいし、日本の学校でも筆記体は教えなくなっているようです。リットルの表記も小文字の筆記体から大文字の「L」に変わりました。小文字のブロック体では数字の「1」とまぎらわしい、ということもあるのかもしれませんが。長いスパンで見ると、アルファベットそのものも時代によって、いろいろ変わっていくようです。「アルファベット」という名前さえ、ギリシャ文字の最初の二文字の「アルファ」「ベータ」から来ているわけですから。「W」なんて昔はなかった字らしいですね。「ダブルユー」と言うからには「ユー」を二つ並べたものだったのです。いやいや、「U」ではなく「V」だろうと思ってしまいますが、実は「U」と「V」の区別もなかったのですね。「W」はフランス語では「二つのV」という意味の発音になるのも、そういうあたりの事情と結びつきます。「ブルガリ」というブランドが「BVLGARI」と表記しているのは、わざと昔風に書いているのかもしれません。「I」と「J」の区別もなかったようで、「J」は「長いI」と呼ばれることもあったそうです。

アルファベットのRやNがロシア文字では左右ひっくり返った鏡文字になっているのはなぜでしょうね。ロシア文字ではなく、正確にはキリル文字というようですが。一説によると、あるロシア人がヨーロッパで手に入れた文字の資料を持って帰る途中、船が難破して資料が失われてしまい、結局記憶だけを頼りに再現したのがキリル文字だとか。たしかに、形だけでなく、他の文字と入れ替わっていることもあります。ソ連をキリル文字で書いたときの省略形が「СССР」でしたが、これは「シー・シー・シー・ピー」ではなくて 「エス・エス・エス・エル」と読むことになっていました。すごく違和感がありますが…。

「梵字」というのはなかなかかっこいいですね。武将の花押みたいな字です。もともとは古代インドのサンスクリット語を表記するための文字で、「梵天」がつくった文字ということで「梵字」と言います。梵天は帝釈天とセットになる仏法の守護神で、伊達政宗の幼名が梵天丸でした。大河ドラマの「梵天丸もかくありたい」という台詞が流行語になりました。梵字は空海が日本に持ってきたようで、真言でつかわれます。真言は、サンスクリット語でマントラと言います。仏の真実のことばということでしょうか。呪文的な感じのもので、原語の音のまま使います。長いものは陀羅尼と言いますが、短いものはたまに聞くことがあります。「アビラウンケンソワカ」というのは、時代劇の修験者が怨霊退散などでやるやつで、一説によると歯痛にも効くそうな。

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