シネマレビュー(2)
あけましておめでとうございます。
今年も、地球は太陽の周りを回ります。太陽までの平均距離がざっと1.5億㎞なので、直径3億㎞の円周上≒約10億㎞を365日で一周するわけです。時速に換算すると10万㎞以上!
凄く速い乗り物に乗り合わせた乗客同士で、今年も少しでもよい席をと奪い合いがあるわけです。「宇宙船地球号」といううまいことばを考えたのは誰だったでしょうか。そういう視点で考える一年の初めでありたいもんです。
電車や路線バスなどでは、乗っている客同士で連帯感なんてあまり生まれないもんですが、長距離のバスや海外路線の飛行機などに乗って降りると、到着地でうろうろしていて、ばったりあったときに「あ、同じ便に乗ってた人!」なんて不思議な親近感を持つものですし、邦人のあまりいない異国の地で会った日本人には、同胞よ!と言いたくなるような感情を持つものです。
人類が連帯するためには、地球規模の危機や地球外生命体との遭遇なんてイベントが必要なのかもしれません。でも、そんなイベント実際にはあってほしくないので、そこでSF映画やパニック映画の役割があるのかもしれないなと考えています。
「アポロ13」という映画がありました。主演は人によって好みの分かれるトム・ハンクス。
前回のレビューでは、人物の「たい」に注目するという話をしましたが、この映画もストーリー自体はシンプルで、「月へ行きたい」が「地球へ生きて帰り(帰らせ)たい」に大きく転換するところが見所でしょうか。
トム・ハンクス主演の他の映画では「ターミナル」「キャスト・アウェイ」が私の好きな映画です。でも、この映画ではゲイリー・シニーズの渋い演技も見てほしい。この人は、トム・ハンクスといくつかの映画で共演しています。ゲイリー・シニーズは「ミッション・トゥ・マーズ」という映画で月どころか火星に行く宇宙飛行士の役で主演を果たしています。
地球から約38万㎞のところにある月。今年の大晦日から元日にかけて、ほんの少しだけですが「月食」があったことをご存じだったでしょうか。地球の影がわりとくっきり映るくらいの距離なんですね。地球一周が4万㎞ですから、地球を九周半くらいのところなんで、結構いけそうです。40年以上前にアポロ計画のサターンロケットは月へ5回も人を送り込んでいたわけですし。当時のアポロに搭載されていたコンピューターの性能は、現在掃除機や炊飯器などの制御に使われているコンピューターチップ程度で、ニンテンドーDSに入ってるチップの方が何千倍も高速度で大容量だとか。
どうして今の技術がありながら再び月へ行かないのか? その疑問はこの映画を観てもすっきりしません。技術じゃなくて政治・経済の問題なんでしょうか。
アポロ13号は11号の成功を受けて月へ飛び立つ3番目の宇宙船です。
「金メダリストは末永く覚えられるが、銀メダルの選手は記憶に残らない」
アメリカ本国でのアポロ熱はすっかり冷め、注目されなかった13号。そのあたりの描写に、なぜまた月へ人を送らないか、という答えはありそうなんですが、それでも疑問は残ります。
夢にお金がかけられない時代なんだ、という答えなら、少しさびしい気がします。
※前回のブログで映画「ファインディング・ニモ」を2000年の映画だったと書いていましたが、2003年公開の誤りでした。