Y田M平クライミングスクール
国語科のY田M平先生(個人情報保護の観点から実名はご容赦ください)は、相当に本格的なクライマーであって、かつて8000メートル峰に2度も挑んだことがあるほどの人です。
私は彼に師事し山登りについて学んでいるのですが、彼、Y田M平にはどうも不審な点がある!
はじめて「これは・・・・・・・!?」と思ったのは、北海道の大千軒岳という1000メートルくらいの山に登ったときでありました。
このときは、雨に祟られたうえ、登山道に入ってすぐにヒグマの糞らしきものを発見してしまったため、全員大変テンションが低い状態に陥っていたのですが、突風の吹き荒れる中何とか登頂し、記念撮影もそこそこにさっそく下山を開始したところ、Y田先生の足取りが妙に鈍く、息が荒い。
やがて「先に行ってください、すぐ追いつきますから。」と苦しく喘ぐ息の下で言ったが最後、Y田先生はずるずると遅れはじめ、待てど暮らせど姿が見えないという状態に。
もしや熊に・・・・・・!?
登山口の駐車場に、疲労困憊よれよれの姿で彼が現れたのは、我々スクール生に遅れること数十分後のことでありました。
その後、「先に行ってください、すぐ追いつきますから」がY田先生の口癖になったわけですが、あれほどのクライマーでありながら、どういうわけか追いついた試しがない。
そう。
輝かしい登山歴に彩られた若き日から長いブランクを経るうちに、いつのまにか彼は、歩くことが嫌いでとにかくできるだけ楽をしたい、ただの運動不足のおっさんになってしまっていたのである!
穂高に行ったときも、上高地に着くまではテンションも高く、あれこれ大きなことを語るのですが、いざ歩き始めようとすると、いつまでもぐずぐずしてなかなか歩き出さない。
我々スクール生はさっさと靴ひも締めザックをかついで、さあ歩いて歩いて歩きまくるぜと燃えているというのに、
「え~、ちょっと一服していいですか」
とタバコをくわえ、ぼんやり。
ついで、ザックの中身の整理をはじめ、あれを出したりこれを出したり、かと思うと、出したばかりのものを、
「これは×××だからしまって・・・・・・」
などとぶつぶつ言いながら元に戻し、いつまでも準備が完了しない。
ようやくザックのひもを締めたかと思うと、
「ちょっとトイレに行ってきます」
戻ってくるとまたザックを開けて何か出したり入れたりしているのです。
それからようやく念入りに靴ひもを締め直し、やっとザックを背負って出発かと思いきや、
「ちょっと一服していいですか」
それを見ているうちに、ああ、これはデジャヴュ? どこかで見たことのある光景だ、これは・・・・・・
勉強中の小学生の姿だ!
というか、いつまでもだらだらしてなかなか勉強をはじめない子どもの姿にそっくりではないか!
自習時間が始まっているのになかなか宿題プリントを用意せず、いつまでもカバンの中をごそごそいじって、何かを出したり入れたりしている子ども。
意味もなくシャーペンを分解し、「いや何かシャーペンの調子が・・・・・・」とぶつぶつ言い訳する子ども。
かと思うと、「先生、鉛筆削っていいですか」と前向きなふりをしつつ、鉛筆を5本も6本も、妙に念入りに削ろうとする子ども。
やたらとトイレに行きたがる子ども。
これでいいのかY田M平!?
いつも塾生に言っていることはどうなるのだ!?
前穂高北尾根5・6のコルより。後方がY田先生、手前を登っているのは別のスクール生。
ちなみにこの記事の投稿者は西川です。