変なぜいたく(光年のかなた④)
この『国語マニアックス』というブログを始めて1年半ほどになります。
このブログの本来の趣旨といいますのが、塾生・保護者のみならず、一般の方にも希学園の講師の顔を見えるようにするというんでしょうか、講師の人柄にふれて親しみのひとつも持っていただきたいということでした。まさかブログを読んで入塾を決めるような人はいらっしゃいますまいが、塾選びをされる際にほんの少しでもプラスに働くとええのう、うっしっしっ、という不純な動機もありました。
そういった下心から学園長に「というわけでブログをやりたいでござる」と具申したところ「いいよ」という寛大な許可がおり、始まったのが1年半前です。
しかしそれにしても、はたしていったいどれくらいの人がこのブログを読んでくださっているのでしょうか。
新しく入塾された方が、「いやー、以前からブログを読んでいけてるなあと思ってました」なんておっしゃっていたというのは聞いたことがありません。
たまに保護者の方や卒塾生から「ブログ読んでいます~」と声をかけていただくことがあり、たいへん励みになっていますが、まあ、たまにです。
どちらかというと内輪受けというのでしょうか、社内の人間がうはうは笑いながら読んでいるというケースが目立つような気がします。
「おっ、ブログ読んでますよ、あの話ほんまでっか」
「Oui!」
「あほでんな」
などという会話が社内でかわされたりしています。しかし、よく考えてみると内輪受けのために始めたブログではないわけです。こんなことでは本来の趣旨にまったくそぐわないため学園長から打ち切りが宣告されてしまうのではないか・・・・・・といった危機感が若干生じ始めている今日この頃です。
そして実は、もうひとつ、懸念していることがあります。
ご存じのようにこのブログは国語科講師3人で書いているのですが、メンバーを選んだのは私です。私がオールジャパンの合宿に連れて行く選手を決めるような心境でメンバーを選定し、山下先生と栗原先生にお願いしたわけです。
一応の心づもりとしては、博覧強記の山下先生がいわば知性担当、真面目で善良な栗原先生が良心担当って感じでした。いや、なかなか悪くない人選だったと思いますね。
ところが、最近になってふと頭をもたげてきた疑問が、俺は何担当なんだ?ということです。よく考えたら最近の俺は、貧乏の話とか風呂に入っていなかった話しかしていないわけです。
前にも少し書きましたが、「このにしかわという人はいけてないんじゃないか」などという噂がたってしまうと、クラス替えで僕のクラスになった子どもが「びんぼうがうつる~」と言って泣きだしてしまうかもしれません。
というわけで、実はここまでが前置きだったのですが、今日は少し国語講師らしい話から始めてみたい!
◆◇
先日(結構前になりますが)授業で扱った問題の中に、
「変なぜいたく」とはどのようなことをさしていますか
という設問がありました。
希学園では、このような「意外性をふくんだ内容について説明する記述」は、
・・・・・・のに・・・・・・こと(から)。
というかたちで書くよう指導しています。
国語の得意な子は言われなくても自然にそういうかたちで答えをつくるのですが、苦手な子にはこの感覚がないので、なぜこのかたちがいいのかをきちんと説明したうえで「型」を覚えさせるのが有効です。
そこで「こういう設問にはこういう型」というように整理して教えているわけです。
さて、それはともかく。というわけで、ここからが本当の本題になるわけですが、「変なぜいたく」ということで思い出したことがあります。
寮で暮らしていた極貧時代、ついにパンの耳にマーガリンをつけて食べるようになっていた頃、にもかかわらず妙なぜいたくをしていたなあと。
変なぜいたくその1
紅茶です。きちんとしたティーメーカーとティーカップを買って、フォートナム・メーソンのアール・グレイを飲んでいました。ティーカップはフィンランドのアラビヤというメーカーが出していたルスカというシリーズのものです。今は亡き天才デザイナー、ウラ・プロコッペのデザインでした。う~ん、パンの耳と両立しない、意味不明のぜいたくぶり。
変なぜいたくその2
ヨーグルトです。ヨーグルトがあまりにも好きであるため、ヨーグルトメーカーを買って、つくって食べていました。一度ただのヨーグルトではなく、なんというのでしょうか、ヨーグルトケーキといいますかそういうものをつくろうと思い、みかんの缶詰だのゼラチンだの買い込んできたことがありました。しかし、ゼラチンをどのぐらい入れるのが妥当かよくわからず、おまけに物知らずの私は、ゼラチンを入れたあと冷やさないとかたまらないということも知らなかったため、おっかしいな固まらねえなと呟きながら大量にゼラチンを投入してしまい、かちかちのケーキが出来上がってしまいました。あまりの固さにスプーンが入らなかった・・・・・・! 泣けました。
それにしてもあのパンの耳・・・・・・。サンドイッチをつくったときに残った耳だったのか、ときどき萎れたレタスの切れ端が入っていたなあ。なんだか香りまでよみがえってくるようです。
つづく。