場外乱闘③
ほんとうに最後まで書き切ることができるのか? 江口寿史級遅筆講師矢原の紀行文第3弾です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「初夏の旅なつかしく ③」
朝を迎えました。気がはやるのか旅先ではたいがい早起き。温泉宿の醍醐味、朝湯をいただきます。湯煙に朝日が差して、露天風呂の広い庭にはツツジが緑に映えていました。湯上がりには夏みかんジュースのサービス。海が近いせいかすっきりとした泉質、さっぱりシャキッと。朝食もたっぷりいただいて、さあ出発。今日も盛りだくさんで。
「ゴクリ爽快」
日本の夏ミカンは 萩が発祥
マーマレードにしたのは諭吉
ツツジに染まる朝湯を上がれば
ジュース美味なり綿棒心地よく
いの一番にあの「明倫館」を目指します。市役所のすぐ前にあるのにいささか驚きましたが、なんと明倫館の跡地はそのまま明倫館小学校として今なお利用されているのでした。日曜日なので生徒たちはいませんでしたが、明治か大正を思わせる木造の建物が時代物の門柱の向こうに見えます。
旧市街に向かいました。駐車場のそばの広場にぽつんと立派な銅像。昭和初期の総理大臣、田中義一の名は日本史の受験勉強以来です。山口県は現在の安倍総理まで最多8人もの総理を輩出しました。
さて、幕末の革命児、高杉晋作の生家です。展示物の中にはスミス&ウエッソンのレプリカも。高杉が贈ったこれと同じ銃が、寺田屋で坂本龍馬を救った話は有名です。
当時の区画を残す街並みを歩けば高杉や伊藤博文が学び遊んだ寺もあります。しばらく行くと桂小五郎(木戸孝允)の旧宅があります。こちらは木造家屋に上がらせてもらえます。医者の子として生まれ幼い頃から聡明であった桂はやがて維新の三傑と謳われるまでになります。
お次はわざわざ海側に回って「道の駅 萩しーまーと」へ。道の駅というより魚市場のようです。いいお土産を見つけました。活けのサザエです。小サイズなら10個で1000円ほど。発泡スチロールの入れ物なら車で運んでも今夜まで保つとのこと。これは買いです。
来た道、萩往還を通って西の京、山口市へ。途中の道の駅では忘れずに大きな網に入った夏みかんを2袋買いました。家でしばらくのあいだ100%ジュースが楽しめました。
「花の山口」
文化 花咲く 西の京うるわし
瑠璃光寺には やさしき如来
新緑に包まる 五重の塔かな
ばりそば完食 汁も飲み干して
山口市の中心部にほど近い山すそ、瑠璃光寺に到着。緑風の中に見事な五重塔がそびえます。法隆寺・醍醐寺と並ぶ日本三名塔の一つ、さすがに優美なたたずまい。もちろん国宝です。後ろを取り巻く初夏の緑が輝いてその美を増します。遠目から真下からといくら見ていても飽きません。秋の頃にもう一度訪れたいものです。
優艶なる国宝で目の保養をしたのちは遅めの昼食。山口は瓦そばも有名ですが最近はばりそばの方が人気だそうで、元祖と言われるお店に向かいました。長崎の皿うどんに似ているのですが、皿うどんは細麺・とんこつベース・とろとろ餡ですが、ばりそばは中太麺・鶏がらベース・さらさら餡です。食べているうちに麺がふやけてバリバリ麺からツルツル麺に変わり、これもまた旨し。さらにポン酢で味変します。うーん満足満腹。
さて、帰途をたどりつつ最後の目的地へと車を走らせます。