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2011年1月24日 (月)

明けの星

入試の激励に毎朝でかけるわけですが、

駅までの道中、空を見上げると、否が応でも目に飛び込んでくる明るい星がありました。

明らかに恒星(自分で光を出す星。太陽系外にある、太陽と同じような星)ではないな、

「明けの明星」(金星)かな、と思ったのですが、金星は太陽の近くを回っている星なので、あんなに天高く昇っているのは妙では? と違和感を覚えました。高層マンションの上くらいに見えているのです。

小学生のころに読んだ天文雑誌の中の「西方最大離角」ということばが頭にひらめいて、調べてみると、やはり、今年の1月9日が「西方最大離角」にあたる日だったようです。

「西方最大離角」は、太陽と金星と地球で三角形を成し、地球から見た太陽と金星の間の角度が最も大きくなる位置関係のことです。

夕暮れ前・日没後に見えるのは「宵の明星」で、最も太陽から離れる宵の明星が「東方最大離角」の金星ということになります。

金星や水星は太陽に近い軌道を回るために、地平線すれすれに近いところでしか見えないと思い込んでいたので、冒頭のような「違和感」があったわけです。

水星の場合、「最大離角」は約28度しかなく、金星のそれが47度もあるのとは違って、空高く見えることはありません。本当にすれすれです。そのため、初めて望遠鏡で天体観測をしたと言われるガリレオ・ガリレイですら、生涯の間水星をみたことがなかった、という逸話があるそうです。

今の金星はとっても見やすく、冬の星空を彩る一等星たちが西の地平線に沈んで、その後に真打ち登場、といった趣もあります。

この冬は、早起きして南東の空を見上げてみてください。一月いっぱいくらいは、東天高く昇った金星を見ることができそうです。

思いの外お高くとまったヴィーナスに、「塾生たちの勝利の女神であってよね」となんとなく不遜に願いを込めつつ、駅への道を急ぐ私でした。

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