中か外か
今は昔。
もう十数年も前のことになります。
塾生の保護者から、一通のお手紙を頂いたことがあります。
「お尋ねしたい事があります。
先日、菓子の中に入っていた説明書きで
『……餡にまかれた餅が絶品……』と書かれていたのを見つけて、息子と頭をひねりました。……」
というような内容でした。
質問の骨子はこうです。
A 餅が餡をつつんでいる。→いわゆる大福タイプ。
B 餡が餅をつつんでいる。→こちらはおはぎタイプ。
さて、「餡にまかれた餅」はA・Bどちらなのか?
餅が餡によってまかれている のならば、おはぎタイプですよね。
でも、
餅が餡の上にまかれている ととれば、大福タイプです!
これは「に」という助詞と「~れる」という受け身の助動詞が織りなすミステリーですね。
??となっている方のためにもう少し。
「このおにぎりは、ご飯に巻かれている海苔の風味を味わって頂きたい」
のような場合、「おにぎり」の先入観というか前提となる知識があるので、違和感なく海苔が外側だとだれもが了解するでしょう。
この例をもって、「日本語は非論理的な言語だ」なんて言う気は毛頭ありません。
どんな言語でも、完全に一意に決まらない場合があるはずです。
むしろ、その二重性みたいなものを楽しむ方が、建設的でいいんではないかと。
え? 結局その銘菓はどっちだったのか、ですか?
確認したはずなのですが、肝腎の結論は忘れてしまいましたとさ。