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2009年12月22日 (火)

シネマレビュー(1)

ブログというもの自体が初めてなんですが。ま、回数を重ねればそれなりになっていくと思います。最初のうちは辛抱してお読みください。

あの「こち亀」も初期はずいぶん絵が今と違いますから。

記念すべき第一回をどういうネタにしようかとかなり困りました。

で、結局、映画の話にしました。でも、西川先生みたいに「通」ではないので、非常にメジャーな映画で。しかも子ども向き。

こういう、書くまでの裏話なんかをだらだら書くエッセイっていかにもだめだめなんですが、書いてみると気持ちがわかるなあ。

さて、今回のシネマレビューは「ファインディング・ニモ」です。たしか2003年の映画なんで、もう7年前ですね!

物語の授業で「主人公」の話をしたときに、「映画『ニモ』の主人公はだれやった?」と尋ねると、必ず「ニモ!」と言ってくれるお子様たちがいていつも誠に誠に感謝しています。そうこなくちゃ話を振った意味がないですものね。振ったらボケる。関西ではもはや礼儀です。

正解は「ニモ父」ですよね。デカい方。名前はマーリン。吹き替えはとんねるずの木梨憲武がやっていました。私もいつか映画の吹き替えをやってみたいです。そう思って今日も教室で朗読の練習をしています。

この映画の主題を言ってしまうと「再生」でしょうか。

(以下若干ネタバレあり←映画レビューページでの用語?)

この上なく辛い経験をした主人公は、人間(魚)不信におちいり、安全に無難にコンサバな人生を送ろうとします。妻子を失い、残ったのは息子ニモ。そのニモを徹底的に箱入りで育てていたニモかかわらず(笑 と自分でフォロー)、ニモは人間に連れ去られてしまいます。

マーリンはニモを探す旅にいやおうなしに出かけることになります。

その旅の道連れが記憶力のない魚「ドリー」です(吹き替えが絶妙でした)。このドリーのおかげで、マーリンは数々の困難を乗り越えてついにニモの囚われているシドニーにたどりつく訳ですが、傷ついたマーリンの「不信」のせいでトラブルも多くなります。

最後はドリーやペリカンのナイジェルを「信じる」ことで、ニモに再会することができるわけです。

子ども向きの映画ですが、実によく練られたストーリーだと思います。

この映画に出てくるキャラクターの多くが、何らかの「ハンディキャップ」を持った設定であることも見逃せないポイントです。

ニモは生まれつき右の胸びれが小さい。ドリーは記憶障害。主人公マーリンはPTSD?

アメリカらしい発想が随所にあります。

よく私は物語文の授業で「人物の『たい』に注目せよ」と言います。

「たい」は願望の助動詞と言われます。「~たい。」「~ほしい。」という気持ちは誰にだっていつだってあるものです。主人公や主要人物の願望や目的をとらえれば、ぐっとストーリーがわかりやすくなると思うのです。

面白いと言われるストーリーは、この「たい」が明確かつ強力なものであることが多いです。

「モンテ・クリスト伯」では目的は復讐です。「西遊記」では、三蔵法師のそれが「天竺から経文を持ち帰り、人々を仏の道に導きたい」であるのに対し、孫悟空の願望は「この輪っかを外したい!」で、真逆です。そのズレた目的が、最終的に一致するダイナミズムが面白さになっています。

この映画でも、父親が何としても息子を助け出したいという願いがよく伝わってくるからこそ、ストーリーに入り込みやすいわけです。

とまあまじめなレビューを書いてしまったのですが、この映画の見所は、本当に美しい海中のCGですね。ピクサーのスタッフ全員がスクーバダイビングの資格をとって、実際の海を見に行った、というだけのことはあります(すごい会社ですね)。

「たくまざる自然」ということばがありますが、人工的に自然を作り上げてしまうところに、私は素直に感動してしまいました。アメリカ人ってすげえ。

とはいいつつ、一番好きなキャラは、ベジタリアン志望のサメのブルースです。

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