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2017年12月 3日 (日)

平和な山登りでいいのか?

何年も前のことですが、とある温泉で話をした見知らぬじいさんに、「天気が良くて楽しかった登山より、天候が荒れて楽しくなかった登山の方が思い出に残るよな!」というようなことを言われましたが、まことにそのとおりです。ふと目を閉じ、山に思いを馳せればまぶたの裏によみがえる悲惨な山行の数々・・・・・・。あるときは風に吹き飛ばされないよう岩に抱きつき、あるときは吹雪のなか必死でテントをおさえつけ、またあるときは大雨でテントの中が水びたしになり・・・・・・。いったい何がうれしくて山なんかに来てしまったのか? 毎度毎度びしょびしょになってこごえて臭くなって、俺はバカなのか?

ところが! どうも様子が変わってきました。・・・・・・この前登ったのどこの山だっけ? と数秒間考えこむ、ということが最近よくあります。記憶力が低下したわけではありません。(もともとあまりない。)

これは、かつて「嵐(台風)を呼ぶ男」と呼ばれたほどの雨男の私が最近絶好調だということに他ならないのです! あのおじいさんの言葉がまさにこの事態を表していたと言っても良いでしょう!

先日、中央アルプスを縦走した折も、なんだか天気が良くて不気味でした。ヤマテン(山の天気予報)の不吉な予報にもかかわらず、三泊四日の縦走で雨に降られたのは最終日だけ(さすがに三泊四日だと一日も降られないということはまずないです)。三日目の宝剣岳直下からの登りの際にはそこそこ風雪に見舞われましたが、まあその程度です。二日目なんて、あまりにもぽかぽかといい陽気なので、空木岳と木曽駒ヶ岳を結ぶ稜線のとちゅうにある檜尾岳の山頂でワイン飲んで昼寝してしまいました。

確かに幸せでした。しかし、何ていうんでしょう、いまひとつインパクトに欠けるというか、うーん、そのときは確かに幸せだったんですが、思い出して幸せになるかというとべつにそうはならず、むしろ現在の不幸が際立つだけというか・・・・・・人に話してもおもしろいわけじゃなし、せいぜいY田M平をうらやましがらせるぐらいしか楽しみがありません。そういうことなのです。

かといってじゃあ次の山行は荒れてほしいかというと、それもどうなのか。うーむ。

しかしここでさらに考えてしまうわけですが、僕が山に登っている姿を傍(はた)から見た人はどのような印象をうけるのか? あるいはその姿を僕自身映像として見たときにどう見えるのか?

燦々と降りそそぐ陽射しのなか、乾いた登山道を楽しげに登っているわしの映像と、激しい風雨(雷鳴付き)のなかこごえる手で岩を掴み歯を食いしばって登っているわしの映像を想像するに、これは明らかに後者の方がかっこいい!と思ってしまうわけです。そういえば6年生の子たちにも言ったことがあります。きみたち、確かにユニバーサルなスタジオで遊んでいる人たちはキャッキャキャッキャと楽しそうでうらやましく思えるかもしれない。でも、「かっこよくはない」だろう? その点どうだ、真剣な眼差しで文章を追い、必死で考えて問題を解こうとしている人の姿は、ちょっとばかりかっこいいではないか。だろう? なに、そんなことない? いやそんなことないはずはないはずだ、そういう方がかっこいいんだ、考えてみたまえ、少なくとも男子諸君にはわかるはずだ、仮面ライダーだって傷つきながらも全力を尽くして戦っている姿こそがかっこいいだろう? それにくらべれば「◎◎ジャー」のシリーズは、ちょいちょい主人公サイドが敵を楽しそうにいたぶっているときがあるが、あれははっきり言って醜い、いくら相手が悪者だとしても生き物だ、それを傷つけて喜ぶなんて人間としてどうかと思うだろう? な、な? ちょっと後半話がずれたかもしれないが、わかるだろう?

僕が小学生のとき、『八甲田山』という邦画がヒットし、その予告篇がわれわれ小学生に多大なインパクトを与えていました。当時、小学生(男子)たちは、ちょっと風が強かったり寒かったりするとすぐに「天はわれわれを見放した!」と叫んではバタッと倒れるまねをしていたものです。つまり、そういう「悲壮」さの美学みたいなものが子どもにもあったと思うんですね。苦悩とか満身創痍とかがかっこよく見える、というような。といって、だから若者よ平和を満喫して楽しく青春を謳歌していないで兵隊になってお国のために戦って玉と散れ~なんて言われるのもぞっとしてしまう話なので、まあそんなヒロイズムはちょっと論外としても、楽しくてにやけてばっかりいる顔よりは真剣にものごとに取り組んでいる姿の方がたしかにかっこいいかもしれないというのは、だれしも感じるところではないでしょうか。いつもへらへらと手をぬいている人間より、真剣に仕事やら何やらに打ち込んでいる人の方がもてますよね、きっと。

というわけで、希学園の受験生諸君にも、そういうかっこいい人になってほしいと心から願っている私でありました。これぞ克己だ!

 

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