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2020年4月の11件の記事

2020年4月12日 (日)

国語科講師からのリレーメッセージ①「アマビエさん」

こんにちは、西川です。

国語科講師一同から、「こんな大変な時期だから塾生のみなさんにぜひメッセージをお送りしたい」「山下正明先生の記事はともかく、西川にいつものようなどうでもいい与太話をアップさせていてはいかん」という声が上がりました。第一弾は、「ね・うし・とら・う・たっち・みー」という一発ギャクで有名な山下高充trからのメッセージです。

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 こんにちは。国語科の山下高充です。今日はアマビエについて一緒に勉強しましょう。 アマビエとは江戸時代は弘化3年(1846年)の4月中旬、肥後国といいますから現在の熊本県(クマモンで有名ですね)の沖に現れたと伝えられる妖怪です。なんでも毎晩海中から謎の光が現れるのでお役人が調べに行ったところ、海中から髪の長い半人半魚の妖怪が出てきていわく「私は海に住むアマビエという者だビエ。これから6年間全国豊作に恵まれるビエけどよくない病気がはやるビエ。私の絵を描いてみんなに見せてほしいビエよ」と言って消えたそうです。(当時の瓦版の記事を現代風に訳しました)
 はたしてその効果はあったのかなかったのか。江戸末期の日本では天然痘やコレラなどに対して有効な治療法がなく、伝染病は現代以上に生命に直結する危険な病気でした。時の天皇である孝明天皇もアマビエ出現の21年後に天然痘で崩御したと言われています。天然痘に関しては3年後の嘉永2年にワクチンの一種である牛痘法が日本でも普及しはじめましたが、コレラはこの後安政5年(1858年)から全国的に流行を見せました。効果のほどは何とも言えないところです。
 さてそのアマビエさんですが、昭和においてはゲゲゲの鬼太郎で有名な水木しげる氏がイラスト化するなど熊本県の妖怪として語り継がれました。島根県の隠岐では水木氏の絵を元にした銅像が設置されているそうです。そして令和の現代、新型肺炎の流行を前に疫病から民を守る妖怪として注目され、いろいろな漫画家やイラストレーターが相次いで自作のアマビエを公開するなどもあって話題になっています。
 とはいえ私はここでアマビエさんがいるからもう大丈夫とかみなさんもアマビエの絵を描きましょうとかといった非科学的なことを言いたいわけではありません。アマビエの流行を見てある政治学者の先生がこう言いました。「これは非科学的ではあるが反科学的ではない」と。どういうことかわかりますか。
 その先生は妖怪の絵を描いたところで伝染病が治まるわけはないが、そのような絵が流行することで人々が病気に気をつかい、いつもよりもマスク手洗いに気をつけるようになり、その結果感染の拡大がおさえられるだろうというのです。医学的な効果はないが人の心に働きかける効果はあるということですね。4年生のテキストに同じような話があったように思いますが、その通りだと思います。
 幸いなことに江戸時代とはちがって現代ではどうすれば病気が防げるかが明らかになっています。手洗いやマスクの着用を徹底し、いわゆる三密(密閉・密集・密接)を避けるというものですが、そのひとつひとつを行うことはとても簡単なことです。とはいえ簡単であるがためについ忘れてしまうものでもあります。しっかり病気を予防して元気な姿でまた教室で会いましょう!

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