公開テストの記述採点
本日は公開テストがあり、私も採点に参加してきました。そこで、小5と小6の記述問題について(というかそこで採点した様々な答えについて)の感想など。
まずは小5国語大問[2]。
11 線⑧「石川くんと同じこと」とありますが、どういうことを石川くんは思ったのですか。具体的に説明しなさい。
解答 五時間目の途中に工作室を出ていった小島くんが自分の塾のテキストを盗んだのかもしれないということ。
まあ、「小島くん」が「小鳥くん」になっているとか、「塾」が「熟」になっているなんていうのは想定の範囲内で、具体性に欠けるもの、たとえば「テキストがなくなったのは小島くんが原因だ」「テキストがなくなったことに小島くんが関係している」なんていうのも、よくあるパターンでした。
この場面は、
①もともと仲の良かった石川くんと小島くんが何らかの理由で仲違いをした。
(おそらく小島くんが公立中学に進学するのに対して石川くんが中学受験をすることが溝ができた原因となっている)
②小島くんは石川くんをずっと無視していた
③石川くんの塾のテキストが教室内から紛失した
というところだったのですが、
意外だったのは、
「小島くんと仲直りしておけばテキストをとられなかった」
というタイプの、なんといえばいいんでしょう、功利的な答えが多かったことです。
文章に即して考えず「自分ならこう感じる」的な答えにしてしまっているのも国語的にはよくないことですが、しかしそれにしても、もう少し意地はないのか? テキストさえなくならなければいいのか? と思ってしまう私でした。
つづいて小6国語大問[2]
5 線④「客のいるときは私の分の半分はハラスに奪われた」とありますが、このときの筆者の、二つの思いがまじった心情を「~という気持ち。」につながる形でわかりやすく説明しなさい。
解答 ビフテキを半分もとられるのは残念だが、客から受け取らないのはハラスが自分たちをしたっているからだとわかってうれしい(という気持ち。)
さて、ここからは、受験生諸君に語るように書くことにしましょう。
塾生諸君、心して読みたまえよ。
1 相変わらずミスが多いな!
「ハラス」が「ハリス」になっているといったほんとうにうっかりぼんやりなミスが多い! 中には「セレス」という、もはやいったいだれのことやらさっぱりわからないのもあったぞ。
そういえば先日灘中学の過去問演習をしたときに「レノア姫」を「レイア姫」と書いていた者が複数名いたが、入試直前のこの時期に頭の中がスターウォーズでいいのか? 猛省を促したい。
2 極端な表現・ぴったりこない表現が多い!
かわいがっている犬にねだられてビフテキをとられている場面ですぜ。「にくむ」とか「腹立たしい」は明らかに言い過ぎだろう。本文中にはっきりと書かれてはいないが、筆者の様子を思いうかべるならせいぜい「苦笑」といったところだ。当然心情表現も「残念」「困った」くらいにしておくべきではないかね。
ふだんぴったりの言葉をさがしてしゃべろうという努力を怠っているから、いざというときに出てこないのだよ。これは意識していれば一か月でも結構上手くなるものだから、今から意識せよ。
3 訊かれたことにちゃんと答えなければならない!
「二つの思いがまじった心情」を問われているのだ。「心情」を「二つ」答えなければ当然ペケだよ。
ところで、こういう表現は心情を答えたと言えるだろうか?
①「なぜ自分のものをとるのだろうかという気持ち」
②「利口な犬だという気持ち」
①も②も文末表現は「気持ち」になっているよね。しかし、これはあまり良い答えではないな。
①は「疑問」をあらわしているから、確かに心情といえなくはない。①を次のようにリライト(書きかえること)すれば、それはよりはっきりする。
①A「なぜ・・・だろうかと不思議に思う気持ち」
しかしだ、この表現自体には、「自分のものばかりとられる」ことに対する気持ち、それをプラスととらえているのかマイナスととらえているのかが書かれてないんだな! もちろんなくてよい場合もある。けれど、今回はそうではなかったね。だいたい「二つの心情・・・」なんて訊かれたら、たいていはプラスの気持ちとマイナスの気持ちでさあ。
②も同じ。「利口なやつだ」というセリフがあったとして、ここにこめられた気持ちはプラスとマイナスの両方ありうるでしょ。そういうことをはっきりさせないと、心情表現としては不十分なのだよ。
以上3点、6年の諸君に申し渡しておきたい。よろしく。